「女性に農業はムリだ」...そう言われて、始めました。

2022年に、新卒で入った金融機関を辞めて、主人の実家であるこの農園を継ぎました。大正時代から続く、栗専門の農家です。

農業の経験はゼロ。栗の栽培も、もちろん初めてでした。世間には「農業=力仕事」というイメージが根強く、周りからは「女性に農業はムリだよ」と何度も言われました。

実際、簡単ではありません。栗の収穫は、急斜面の山を登って一粒ずつ手で拾う仕事です。雨や風の心配は絶えず、木の手入れも思うようにいかない。

「やっぱりムリなのかな」と思った日も、一度や二度ではありません。

それでも続けてこられたのは、栗を食べた方の「美味しかったです」のひとことがあったからです。自分が拾った栗が、どこかの家の栗ご飯になって、家族の「おいしいね」になっている。それが分かってから、この仕事が好きになりました。

栗づくりは、三代目の祖父に教わってきました。その祖父は、2026年の春に他界しました。

祖父が手をかけてきた木は幹が太く、50年以上たった今も実をつけ続けています。

今は四代目とともに、祖父から教わったことを守りながら、この木たちの世話を続けています。いつか私も、そんな木を育てられる園主になりたいと思っています。

萬奥農園は、家族だけの小さな農園です。けれど、五代にわたって栗だけを作り続け、品評会では農林水産大臣賞を9度いただきました。栽培も、収穫も、選別も、すべて家族の手作業です。

秋のあいだだけの味です。ご家族の食卓で、ほくほくの栗を楽しんでいただけたらうれしいです。

五代目園主 萬奥理紗